ストレージ(データ管理)

高信頼性・高性能な仮想化集約環境として最適
基幹系システムに最適な
オールフラッシュストレージ

データ処理速度の課題

ビッグデータ時代の基幹系システムインフラに必要な高速基盤

IoTに代表されるように、企業があつかうデータ量は非常に大量になってきました。また、それらのデータが、企業内外に蓄積されBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールなどで多角的に分析活用されるようになってきました。 ご存知のように「ビッグデータ活用」と呼ばれるサービスです。

ビッグデータを活用する上で、多くの企業が頭を悩ませているのがデータ処理速度の問題です。

従来であれば夜間バッチ処理が翌朝までに完了できていたものが、翌朝になっても終わっておらず、通常業務にまで影響を及ぼすケースも発生しています。 また、統計解析ソフトを利用した予測分析を行う際にも非常に時間がかかるようになってしまい、迅速なアクションが実行できない状況を招いています。 これらは、急激に増加・肥大化するデータに対して、システム側の処理能力が追いつかなくなっているためなのです。

システムの中でもストレージシステムはI/Oボトルネックとなっている可能性が高く、各企業はI/Oボトルネックを解消するために、ハイエンドストレージシステムの導入やHDD容量の追加、データベースの設定やSQL文のチューニングなど様々な対策を取っています。しかし根本的な解決には至らず、手の施しようがないという状態の企業も少なくありません。

課題解決

オールフラッシュストレージという課題解決へ向けた提案

TCSは多くのお客様の基幹系システムインフラを構築してきた経験から、膨大なデータ処理課題に対して「オールフラッシュストレージ」を提案しお客様と共に解決してまいりました。ハードウェアだけでI/Oボトルネックを改善することができるため、お客様の負担も大きくならないためです。

フラッシュストレージの製品としては、日本アイ・ビー・エム(株)(以下、IBM)のFlashSystem を推奨しております。FlashSystem は、IBMが研究開発に膨大な費用を投じたFlashCoreTMテクノロジーを実装しているオールフラッシュストレージのハイエンドモデルです。

FlashSystem 900では1秒間に1,100,000回のI/Oを実現します。搭載するフラッシュモジュールは、IBM MicroLatencyTMと呼ばれIBMとメモリ開発・製造ベンダーのMicron Technology社によって共同開発されました。両社はFlashメモリについて多くのノウハウをもつ企業なのでMLC(Multiple Level Cell)でも従来通りの信頼性を提供できます。
管理面においても単一GUIから複数のFlashSystemを管理できますので、運用での手間の軽減につながります。

FlashSystemの特徴

事例

FlashSystem+SVCという
高速ストレージ基盤による課題解決のケース

TCSではFlashSystemとSAN ボリューム・コントローラー(SVC)を組み合わせた高速ストレージ基盤を主にご提案しております。SVCを組み合わせることでFlashSystemのメリットが一層活かせるためです。FlashSystem+SVCという高速ストレージ基盤を利用して解決できることをいくつかをご紹介します。

<ケース1>計画停止せずに365日24時間のシステム稼働
ハードウェアメンテナンス時には計画停止せざるを得ないのですが、企業がグローバル展開している場合には日本時間は深夜でも海外は事業を継続しているためシステムを停止できません。またオンラインサービスを提供している企業においてもユーザーはいつでもサービスを利用するためシステムを止めるわけにはいかないのです。

「計画停止できないという課題解決に向けたシステムがFlashSystem+SVCです。

上の図は、多くのお客様が利用しているVMwareによる仮想化構成でのユースケースです。サーバーの計画保守が必要となった場合、仮想サーバーを、vmotionを利用して別物理サーバーへ移動させ、停止せずにシステムを継続稼働させるわけです。

しかし、移動させる仮想マシンのデータ量が多い場合には、通常のHDDによるストレージ構成ですとリクエストタイムアウトが発生し、データ移動が完了しないケースがあります。

データ量が巨大なビッグデータ環境の場合には、高速なI/O処理が可能なFlashSystemと、ストレージ仮想化ソのSVCを採用したシステム構成が有効になります。 SVCのマイグレーション機能によりサービスを中断せず仮想化されたストレージシステム間で仮想マシンのデータを格納したボリュームごとに安定して移動することができます。加えて、FlashSystemの高速なI/O性能によってデータ移動の時間も大幅に短縮でき、メンテナンスに関わる作業時間が軽減できるようになります。

ミッションクリティカルな業務や、ビッグデータを扱っているサービスなど、24時間365日の運用を可能にするシステム構成と言えます。

<ケース2>基幹系システムの夜間バッチ処理時間を短縮
基幹系システムの夜間バッチ処理時間はデータ量の増加に伴い長時間化する一方です。そのため経営判断の指標となるデータ入手や分析が遅れがちになり、経営者や管理職にとっては大きな課題となっています。この課題解決にもFlashSystem+SVCのシステム構成が有効です。ある事例では9時間かかっていた夜間バッチ処理が3時間で完了しています。

ビジー率と処理時間の比較をしています。SSD仕様のStorwiseもよい結果でしたが、FlashSystemは一段上の性能といえます。またSSDと比較するとI/O性能に加え耐障害性や信頼性は圧倒的に高いため基幹系システムのストレージとして最適と言えます。

ベンチマークテストのポイント

TCSのオールフラッシュストレージ導入の知見

TCSではFlashSystemのシステム構成におけるSANスイッチやSVCなどのファイバーチャネルの回路構成についてもパフォーマンス低下がないかなどを確認し、最適な構築を行うために、IBMの協力のもとで様々なケースを想定してベンチマークテストを実施、そこから得たデータをもとに最適なシステムの設計・構築を行います。ハイパフォーマンスモデルであっても最適な回路構成で構築しなければあるポイントがボトルネックとなり、設計通りの性能が発揮できないケースも発生するからです。

また、仮想環境におけるシステム停止なしにメンテナンスが行えるシステム構成においても、SANスイッチのポート間の内部通信、SANスイッチとSVC間などのIOパフォーマンスを検証します。

このベンチマークテストのポイントを紹介します。

IOの重複カウントの除外
本番FlashSystemから計画保守用FlashSystemへデータ移動をする場合、SANスイッチ1台内の主なIOは以下となります。

1.[Read]SVC->SANスイッチ
2.[Read] SANスイッチ->本番FlashSystem
3.[Write]SVC->SANスイッチ
4.[Write] SANスイッチ->計画保守用FlashSystem
FlashSystemからのIOは単純計算でSANスイッチ上の主なIOの1/4となります。

SANスイッチ2台構成によるIO想定
SANスイッチは2台Active/Activeの構成となることから、FlashSystemからのIOは1台のSANスイッチでのIOの2倍となる見込みです。

IO性能計算結果
「1台のSANスイッチ内のIOの合計が16Gbps」から算出すると、
16GBps ÷ 4 × 2 = 8GBps

このシステム構成によるFlashSystemでのデータ移動では8GBpsの性能であったと推測されました。別のFlashSystem+SVCと比較してもよい結果であり、同機器構成としては想定以上の性能が出ていると判断できました。

また、SVCに関してもSVCがボトルネックにならないか、事前にパフォーマンス検証なども行っています。想定通りのパフォーマンスがでるようシステム構成や回路構成を予め検証します。

サービス担当からのコメント

TCSはFlashSystemの導入を支援してきた経験から、ハイパフォーマンスモデルの性能を十分に引き出す、システム構成や回路構成など多くの知見があります。 ビッグデータに最適な高速な基幹系システムインフラを検討されるお客様はぜひお問い合わせください。

VMware + FlashSystem + SVCは、高信頼性・高性能な仮想化集約環境として最適です。Global MirrorやSRM(災害対策サービス)との組み合わせにより、より堅牢なシステムを構築する事も可能です。 これまでは仮想化実現が難しいとされてきた領域でも、是非御検討いただければと思います。

TCS株式会社
産業事業部 IT推進 担当課長(取材当時) 漆原 豪氏(左)
産業事業部 ソリューション営業 (取材当時)藤沢 光太郎氏(右)