導入事例
ビッグデータ分析で新車提案の重点顧客を抽出 本部主導による営業活動の効率化を実現
ビッグデータ分析で新車提案の重点顧客を抽出
東京都内を地盤とするカーディーラーグループを統括する日産東京販売ホールディングス株式会社。傘下に所属するディーラーの東京日産自動車販売株式会社と情報システム会社の東京日産コンピュータシステム株式会社が、共同で1年以上トライアルを続けて磨きをかけたビッグデータを活用した予測分析サービスを傘下のディーラーへ利用促進し、グループ全体の営業活動効率化などの成果が得られている。 従来の店長や営業スタッフの経験や勘に頼っていた顧客抽出に加え、本部が予測分析サービスによって抽出した重点顧客を追加。その情報を店舗の営業部門が活用することで、営業活動の効率化を図っている。
日産東京販売ホールディングス株式会社
昭和17年(1942年)11月16日東京府自動車配給株式会社として発足。積極的な店舗への投資や人材戦略などの成長戦略を進めている。「お客さま視点」「笑顔・誠実・元気」をモットーに、常にトップクラスのカーディーラーグループであり続けていくことを目指している。
所在地 東京都品川区西五反田四丁目32番1号
日産東京販売ホールディングスは、東京日産、日産プリンス東京、日産プリンス西東京の日産カーディーラー3社を中心に自動車販売事業グループを統括する持株会社。同社は東京証券取引所市場第1部に株式上場する国内有数の大手自動車販売会社グループである。
日本最大の市場である東京都内を地盤とする同社だが、人口減少と若者のクルマ離れの時代を迎えた今、自動車販売ビジネスを取り巻く環境は厳しさを増していると代表取締役社長 酒井信也氏は話す。 「国内の自動車市場は消費税駆け込み需要の反動減があり前年を割りました。当社が担当する東京の自動車市場は、その要素に加え、外車の攻勢が加わりとりわけ難しい市場と言えます。全国的に伸長している軽自動車の構成比率が全国で最も低く、交通機関等インフラが整備されていることからクルマ離れが起きています。」
こうした厳しい環境の中、同社は「お客さまのニーズに合わせた提案型営業による付加価値販売」を継続して推進。経営体質の強化と安定した収益構造の確保に取り組んできた結果、持株会社体制に移行して以来、4年連続で40億円以上の営業利益を達成している。
しかし、それで安穏としているわけではない。「今のカーディーラーの営業は、お客さまにいかに来店していただくかが重要になります。ただし、新しいお客さまは新モデルの発表など、大きなイベントでもない限り、なかなか来店していただけません。そのため、すでに購入していただいた既存のお客さまに来店いただくことがとても重要になります。これまでは、新車の販売と同時に定期点検や車検のメンテナンスサービスを安価に提供してサービス入庫の機会を増やし、車の調子を伺ったり自動車保険を見直したりする中で、見込みのあるお客さまに新車を提案することを意識的に取り組んできました。けれども、どのC/A(カーライフアドバイザー)もお客さまのニーズをつかむのが早くて上手というわけではなく、経験年数などにより、営業のスキルには差があります。
このスキルの差を埋めるために、ディーラー各店舗のC/Aは「WBC(ウィークリービジネスサイクル)」という週間計画を立てて営業活動をしています。この計画に基づく営業活動をより効率化すれば、ニーズに合わせた提案型営業のさらなる強化につながると考えました」(酒井社長)
日産東京販売ホールディングス傘下のディーラー3社では、昔からお客さまを"基盤"と呼んで非常に大切にしてきた歴史があり、"基盤"が格納されている販売管理システムには膨大なデータが蓄えられている。その膨大なデータをもっと有効に、高精度に活用できないだろうか。そう考えたのが、日産東京販売ホールディングスグループの東京日産コンピュータシステムだった。
「例えば、自動車には登録や車検など、法律で決まっている制度があります。そのためコンピュータのない時代から、新車登録から7年目を軸に前後2年、車検満了の6カ月以内のお客さまは買い替えの確率が高いといった統計上のデータが存在していました。営業現場のプロはこれらを経験値として身に付けていたわけです。 しかし、人の勘と経験によって処理をすると、実際には非常に多くの取りこぼしがあるのではないか。そこで販売管理システムにある膨大なデータをコンピュータで分析すれば、購入の見込みが高い"基盤"をより正確に探し出せるのではないか ―― という発想がそもそものきっかけです」(東京日産コンピュータシステム株式会社 代表取締役社長 吉丸弘二朗氏)
ディーラー3社にはそれぞれ10数万件から20万件に及ぶ"基盤"のデータがあり、販売管理システムにはほかにも月次の受注データがある。それらの因果関係を毎月分析するわけだ。実際に分析するデータは多種多様であり、それらのデータを蓄積し、その膨大なデータを機械学習で分析することで再現性の高いビジネスルールやパターンを発見していく。その結果を元にして"基盤"の優先順位付けを行い、上位の"基盤"データをターゲットとしてリストアップするという仕組みになっている。
「当初は、分析結果の信憑性に不安がありました。しかし、リストアップした翌月には、実際に何台売れたかがわかります。再現性の高いルールやパターンなどを発見する検証を東京日産と共に半年間繰り返し行いました。(詳細はこちらをクリック) その結果、人手による分析でリストアップした実績に比べ、高確率で受注に結び付くルールやパターンを発見できました。その検証結果に対しご納得いただき、価値をご理解いただけました」(吉丸社長)
この検証結果を受け、日産東京販売ホールディングスは迅速な経営判断により導入を決定した。
「今日、ビッグデータの時代と言われています。データ資産を活用することが世の中の流れであり、それは当社にとっても例外ではありません。グループ内では東京日産が最初に活用を始めましたが、ターゲットが絞られていることで営業活動が効率化され、確率が高いことでC/Aの熱心さも違ってきて、さらに確率が上がっていくという報告を受けています」(酒井社長)
ビッグデータを活用した予測分析サービスで出力したリストを、東京日産では「予測ターゲット」、日産プリンス東京では「優先お宝ターゲット」、日産プリンス西東京では「買いたい見込み客リスト」と呼んでいる。それぞれ呼び名は異なるものの、購入確率が高い重要なお客さまのリストであることに違いはなく、各ディーラーの営業活動に積極的に活用されている。
では、営業の現場では実際にどのように活用され、どのような効果が得られているのだろうか。日産東京販売ホールディングス本社ビルにある東京日産自動車販売 新車のひろば目黒店 店長 小坂井修氏に話を聞いた。
目黒区、品川区を主な営業エリアとしている同店には、13名のC/Aが所属している。このうち、出来高契約のコミッションセールス1名を除く12名が「予測ターゲット」に基づく営業活動を行っている。
「当店では、C/A1人あたり400~500件の"基盤"を持っており、このうち優先ターゲットは140~150件になります。お客さま先に訪問するのに片道平均30~40分かかり、C/Aも訪問しやすいお客さまを優先して回るため、店側で訪問の指示をしたターゲットのお客さまが後回しになったり、1カ月の中で1件ずつ丁寧にあたることができなかったりすることが課題でした。予測ターゲットのリストが本部から提供される今は、「だろう」営業をやめ、まずは順位に従ってターゲットのお客さまをあたろうという活動をしています。それに加え、車検が近いお客さま、5年5万キロ以上の車を所有するお客さま、本部からDMを送ったお客さまなどを自分たちで抽出し、それらのお客さまをどうやって攻めようかと作戦会議をしながら、優先的にあたるという活動もしています」(小坂井店長)
Point1:インフラ提供
データをすべてお預かりし、保管・蓄積、メンテナンスは弊社が担当します。必要なIT設備をクラウド上にご用意し、煩わしい運用業務からも開放されます。
Point2:蓄積データから新車購入確率の算出
人手では不可能な、データの属性と受注データとの関係を「IBM SPSS Modeler」を使って予測分析。独自モデルにて、お客さま一人ひとりの購入確率を算出します。
Point3:購入確率の高い顧客の予測リストをご提供
毎月、お客さまごとの購入確率を算出し、購入の可能性が高いお客さまだけをリストアップしてご提供いたします。お客様はリストを活用してDMなどのマーケティング活動にご活用いただけます。
データ分析:AI予測分析
購入確率を予測し業績アップを実現。 毎月、お客さまごとの購入確率を算出し、購入の可能性が高いお客様だけをリストアップしてご提供いたします。
お客様はリストを活用してDMなどのマーケティング活動に活用可能。 本部主導による営業活動の効率化を実現します。